吸汗速乾の素材と、ポロシャツの袖の構造

前回のブログで快適さの我慢がビジネスシーンでのスタイリングに必要というような記事を書きました。続いては生地の性質を含めての快適さを考えてみたいと思います。

生地の繊維は様々なメーカー様の研究で日々進化して、様々な新素材を衣料品向けに提案いただいてます。吸汗速乾の特徴で多いのは、ポリエステル繊維の形状を工夫し、表面張力を利用して水を吸い上げる毛細管現象を利用したり、吸水性の高い綿とポリエステルを混紡するといった生地が多いでしょうか。

乾くということには、湿度が大きく関わってきます。湿度〇〇%というのを皆さんも天気予報等で良く耳にされていると思います。ご存知の方も多いと思いますが湿度のパーセンテージとは、ある温度において空気中に水蒸気として含まれる水の量を比率で表したものです。ある一定の温度において、液体の水が気体の水蒸気になれる量は決まっています。つまり温度〇〇度で湿度100%というのは、もうこれ以上水が水蒸気になることができない、水は蒸発しないという状態です。湿度100%の状態だといくら吸汗速乾の素材でも絶対に乾かないということです。
昨日は非常に蒸し暑く、エアコンをつけなければ眠れないという方も多かったのではないでしょうか。


  

 

昨晩ランニング後の写真と周辺の気温と湿度をアプリで取ったものです。川岸ということもあって、湿度はなんと90%もありました。ポリエステル100%の吸汗速乾の生地を着ていたのですが、汗の量が生地の吸水に追いつかずにドボドボの状態でした。
人の体温は運動するエネルギーによって上がり、まずは体温が上がります。上がった体温を逃がすために発汗して、水分にのせた熱を体外に排出します。そして汗が蒸発する時に、気化熱という水が蒸発に必要なエネルギーとして熱を放出して体温を調節できるようになっています。しかし、日本のように湿度が高いと、なかなか蒸発がスムーズに行われないのでベタベタと不快な思いをすることになっているのです。


生地は確かに吸汗速乾の機能を持っています。ですが、実際その服を着てみて、それを実感できるかというと人それぞれ感じるところがあるのではないでしょうか。首まわり、脇の下、背中等なかなか汗が引いてくれない箇所も多いと思います。服としては、首周りには生地が少なく汗を吸収してくれない場合、脇の下は手を下ろして風が入らない、背中も同様に体そのモノが前のめりの姿勢であるため生地が密着してしまって空気が通りにくくなってしまいます。前回のビズポロとは反対になってしまいますが、袖は日本という気候下では本来ゆとりが大きく風通しが良い横向きについた袖のほうが間違いなく快適だと思います。そもそも洋服は地中海性気候のカラッとした環境の元に発達してきました。日本のような温暖湿潤気候では、和服のように人の体に沿わず、平面で風通しが良い服が発達してきたのもよく分かります。欧米人は部屋ですら靴を脱がないのは、そこまで蒸れないのも大きかったのでしょう。日本人が靴を取り入れた結果、水虫という病気も広がったと言われてます。


話が逸れましたが、機能素材を使用していると生地にこんな良い機能があるよと下げ札で謳っていますが、生地の機能が=商品機能でないこともあります。私たちのように商品を作る者としては、素材の機能を損なわない商品を作らなければ、消費者にその価値をお届けすることができないと思います。また、素材だけでなく、服の作り方の工夫でより機能を引き出す努力をしなければならないと感じています。

この写真はウィッツ(株)様のゴルフウェアで背中を二重仕立てで内側メッシュにして風通しを良くしています。機能とデザインを合せた良い例になるのではないでしょうか。仮に前側に風が入るデザインを付けて、空気を通り易くしたら自転車のブランド等に良い感じになるかもしれませんね。